あっとほーむ 直送版
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いよいよ7月、夏の到来です。梅雨から秋ごろまでは食中毒が非常に多く起こる時期です。食品の取り扱い、手洗い、冷蔵庫の管理には十分注意しましょう。元気な体で、暑い夏を乗り切りましょう。
生活改発室 食彩主任 齋藤 恵
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平成16年7月号
  みんなの声 平成15年度財務・事業報告
※あっとほーむ直送版では発行当時のままに配信しているため、
 一部に古い情報が使用されておりますことを予めご理解いただきますようお願い申し上げます。



お盆の頃 緑寿園施設長 阿壽子

この時季、日暮里駅の改札口を出て、お盆の墓参りの家族が行き交う坂道の前に立つと、坂の頂点に眩しい初夏の日差しを人々の頭越しに見ていた幼いころの想い出が甦ってきます。微かにお線香の匂いが漂う道端には白い包帯が妙に痛々しい軍人さんらしい人達がアコーデオンで軍歌を弾き、露天には大勢の花売りが手際よく花束を作り売りさばき、登りきったその坂の上では飴細工屋が息を吹き込みながら器用に指先を使って色鮮やかに鳩や動物たちを作っていました。遠い記憶のその頃は、お墓参りの特別な意味はまだ理解出来ない、ただ家族揃ってのお出かけにはしゃいで、もの珍しさに目を奪われて楽しく走り回っていた私がいます。

私の初めての死の経験は、いつも背中に背負い半てんで包んで可愛がってくれた祖母が、私が嫁いで子供をもうけた頃に九十歳になると同時になくなったときです。いま、高齢になられた皆様の生活をお手伝いする仕事をするようになってからは、多くの方の最期のときをご一緒させていただき、お世話をさせていただいています。
若いケアスタッフは、緑寿園で生活のお世話をさせていただく仕事に携わり初めて人の死との出会いをする者も多くいます。ご家族と共に看取りを精一杯させていただく中で、最期の最後にこの仕事についていてはじめて感じる感動をいただいております。

今年も7月3日に新盆を迎えるご家族をお迎えし、駒沢大学曹洞宗総合研究センターのご協力をいただき「供養祭」を開催させていただきます。ご家族と共にゆっくりと故人を偲ぶこの時間を大切に迎えたいと想っております。

九十二歳と八ヶ月 ケアセンター利用者家族 目崎久子様

「百歳まで生きる」と、父はいつも言っていました。

朝六時に起きると布団を片付け、お茶を飲み、新聞を読みます。朝食をしっかりと食べて、着替えをして、緑寿園のデイサービスに出かけます。四時半頃帰宅すると、お茶と甘いお菓子を食べてから、自分でお風呂にゆっくりと入り、六時に夕食、九時までには寝る、というのが晩年の父の毎日でした。娘の私が思い出しても、病気をしたり寝込んだことは一度もありません。「渋いお茶とねぎのみそ汁があれば元気でいられる」と、食事の度に「うまそうだなあ」と言って、何でも残さずに食べてくれました。そして月曜から土曜まで、毎日休まず緑寿園に行くのを楽しみにしていました。体操やゲームをしたり歌ったり、何よりの楽しみは将棋の相手をしてもらうことでした。このような日がまだまだ続くと思っていましたので、九十二歳と八ヶ月で旅立ってしまったのは、ほんとうに残念でなりません。

戦争に行った父の前半生は激動の時代で、苦労も多かったことと思います。けれども父は、何も話しませんでした。田無に住んでからは庭の手入れをしたり、ダンスやカラオケを楽しんで、家族や周りの人々と穏やかに暮らしていました。最後まで健康で元気に過ごせた父は、幸せだったと思います。

今、古里の所沢で、隣に眠る弟と兄弟仲良く将棋を指していることでしょう。
緑寿園の皆様には、大変お世話になりました。ありがとうございました。
(田中要作様ご家族)




  みんなの声 平成15年度財務・事業報告

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