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食べる喜び 大和田 久代 |
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味が分からなくなり、自分で食事を摂る事が難しい時期がありました。今では軽くなりましたが、腰痛がひどく、どうしても体を上手く動かす事が出来ませんでした。「食べたい」という気持ちも次第になくなってゆきました。
どうしようもなくなり、家族や職員の方々で私が生きられる様にと話し合い、鼻から管を入れ、そこから栄養剤を流し入れる事になりました。
自分も、納得した事とはいえ、初めて管を鼻から入れた時は、まるで縛られた感じがしました。
今では、ようやく、管からの食事にも慣れました。
少しづつですが、体調も回復し、栄養剤のお陰もあって、元気が出てきました。元気が出ると、やはり口からきちんと食べたいな、と思ったりします。管をぶらさげただけの食事は、味がありません。淋しい気持ちもします。
この間、久しぶりに口から牛乳を飲ませてもらいました。ヨーグルトも食べました。口で食べ、味の分かる事の嬉しさを感じました。もっと飲みたい!もっと食べたい!
牛乳もヨーグルトも自分で口へ運びました。食事だってきっと、ゆっくりと時間をかければ自分で食べられると思います。今一番食べたいものは、おにぎり。ピンポン玉位の大きさでもいい、ご飯が、銀めしが食べたいナ。
元気になった私には、「食べたい」という気持ちが出てきました。早く良くなりたい、もっと元気になりたい。そんな思いを胸に、これでも頑張っています。
自分一人なら「もう死にたい」、と思った事もありました。それでも、ここで皆さんに親切にしてもらうから嬉しいです。私が生きられる様に、色々とやってくれるのが嬉しいです。またいつの日か、おにぎりを口いっぱいにほおばれる日を夢みて、食べる喜びを噛みしめています。 |
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