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自然の中で 事務企画室 信原知之 |
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昨年の夏のことである。緑寿園からの仕事帰りに大型スーパーによってみた。エスカレーターを上がると50%OFFのはでなセールを見つけたので立ち寄ってみた。それは夏のレジャー用品のバーゲンセールで、キャンプ用品が格安の値段で並んでいた。これまで私はキャンプなどあまり行ったことが無く、行ってもバンガローに泊まるか、日帰りのバーベキューくらいであったが、多少興味はあったのでテントの値段を見ると一万九千八百円となっていた。まだ高いなと思い家に帰ろうと思ったとき、目に飛び込んできた一枚の看板。今ついている価格の50%OFF。
レジでお金を払いながら、家で帰りを待つ娘と息子の喜ぶ顔が目に浮かんだ。意気揚々と家に帰るとかみさんに「そんなもの買ってきてどうするの」と怒られてしまった。子供達はテントをまだ知らないので家の中でテントをくみたては。子供達は大喜びでテントで遊んでいる。そしてキャンプへ行こう、キャンプに行きたいと大騒ぎ、これが私たち家族が去年からキャンプをはじめたきっかけとなった。
そして今年もキャンプの季節がやってきた。キャンプ場は秩父周辺のなるべく空いていそうな所を選んでいる。奥秩父は東京から比較的近いのにとても良い形で自然が残されているのには感心する。山に入れば自然動物や見たこともないキノコや植物、川には綺麗なところにしかいないといわれているイワナが生息し、中でも驚かされたのは国蝶で天然記念物に指定されているオオムラサキという蝶を見ることができた事だった。
今年八月、奥秩父の入川渓谷にあるキャンプ場へいった。キャンプ場へ到着するとすぐに子供達は自然の中に吸い込まれるように遊んでいる。目に映るすべてのものが新しく新鮮という感じで次から次へと新しい遊びを考え出してとても楽しそうにしている。やはり子供は自然の中で遊ぶのだ一番だなどと考える。
一方、私とかみさんはというと、たくさんの積み荷をキャンプサイトに運びテント、ターブ(日よけ)を設営し、薪を拾い火をおこし、水をくみ、食事の準備、明かりの準備等々。一泊とはいえ自分たちだけですべて用意、準備をするのはとても大変だ。しかしこの大変さがキャンプの醍醐味だともいえる。しばし便利な日常生活を離れ、数十年前のような生活をキャンプで擬似的に体験することで昔の人々が当たり前に経験していた生活の苦労、工夫、歴史といったものを肌で感じることができる。緑寿園で生活しているお年寄りの方々もこのような生活を経験してきたのだななどと考えながら準備を一通り終えると、もう日が暮れて夕食の時間となる。夕食もまた苦労して作ったということもありこれがとてもおいしい。食事の後は、満点の星空を眺めながら星や宇宙の話、遊びの中から自然・科学・歴史といったものへの興味を膨らませながらテントの中で眠りにつく。
綺麗な自然の中に身を置き、その自然とのふれあいを通じて子供達だけでなく私たちもほんとうに大切なものは何かを学んでいけるそんな気がするひとときだ。
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